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チック・コリアのサークルについて

2013-04-06 | JAZZ
チック・コリアは長い音楽人生の中で一度だけフリー・ミュージック(前衛)について、ほんの短期間ですが「サークル」という名のバンドで活動していた時期があり、そのことについて触れてみたいと思います。

その前に、チック・コリアについては私の愛聴盤(第9回)で、「ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス」を紹介しましたが、この録音が1968年3月で、同年9月24日にはマイルス・デイビスの「キリマンジャロの娘」のレコーディングに参加しています。
それまでのマイルスはアコースティック・サウンドの中で、自身のオリジナルやスタンダードをいかに料理するかを追及していましたが、この時を前後して電化を取り入れたサウンドに進みつつあった時代でもあり、これを演るにはそれまでピアニストを務めていたハービー・ハンコックでは限界を感じていたため、ハービーに代わってチック・コリアの加入となりました。
チック・コリアがマイルス・バンドに参加していたのは、1970年8月29日にワイト島で行われたミュージック・フェスティバル辺りまでで、「自分の音楽を追及するのが今だ」と語り、同年10月にはデイブ・ホランドと共にマイルスの元を離れています。
しかしその後も、1972年6月のオン・ザ・コーナーのレコーディングには参加しています。

という訳で、チック・コリアがマイルス・デイビスのバンドに参加した最初と最後、それにオン・ザ・コーナーを紹介します。
尚、ワイト島のライブはDVDです。
    


チック・コリアはこの時期のマイルスから影響を受けたことで、音楽にも大きな変化が現れます。
そこで、今回のテーマである「サークル」を含め、1970年以降に録音されたアルバムを順に追ってみると…
「THE SONG OF SINGING」 Blue Note BST-84353 
 
1. TOY ROOM
2. BALLAD I
3. RHYMES
4. FLESH
5. BALLAD Ⅲ
6. NEFERTITTI
CHICK COREA(p) DAVID HOLLAND(b) BARRY ALTSCHUL(ds)  録音1970年4月7~8日

「日輪 / THE SUN」 東芝 ETP-9016
 
1. MOON DANCE
2. SLUMBER
3. THE SUN (Part 1)
4. THE SUN (Part 2)
5. THE MOON
CHICK COREA(p) STEVE GROSSMAN(ts) DAVID HOLLAND(b) JACK DE JOHNETT(ds)  
録音1970年9月14日 


そして以下の4作品が「サークル」としての活動アルバムです。
「LIVE IN GERMAN CONCERT」 SONY SOPL 19-XJ (サイトからのピック・アップ画像)

1. MEDLEY : TOY ROOM ~ Q AND A
2. NO GREATER LOVE
CHICK COREA(p) ANTHONY BRAXTON(reeds)  DAVID HOLLAND(b) 
BARRY ALTSCHUL(ds)  録音1970年11月28日

「A. R. C.」 ECM 1009 ST
 
1. NEFERTITTI
2. BALLAD FOR TILLIE
3. A.R.C.
4. VADANA
5. THANATOS
6. GAMES
CHICK COREA(p) DAVID HOLLAND(b) BARRY ALTSCHUL(ds)  録音1971年1月11~12日

「PARIS CONCERT」 ECM 1018 / 1019 (2枚組)
 
1. NEFERTITTI
2. SONG FOR THE NEWBORN
3. DUET
4. LOOKOUT FARM
5. 73°KALVIN (VARIATION - 3)
6. TOY ROOM ~ Q AND A
7. NO GREATER LOVE
CHICK COREA(p) ANTHONY BRAXTON(reeds)  DAVID HOLLAND(b) 
BARRY ALTSCHUL(ds)  録音1971年2月21日
上記 2.はデイブ・ホランドのベース・ソロ、3.はチックとアンソニー・ブラクストンのピアノとサックスのデュオです。

「GATHERRING」 SONY SOPL 20-XJ (サイトからのピック・アップ画像)

1. GATHERING Part 1, Part 2
CHICK COREA(p) ANTHONY BRAXTON(reeds)  DAVID HOLLAND(b) 
BARRY ALTSCHUL(ds)  録音1971年3月17日

当時、チック・コリアが住んでいたアパートのすぐ上階にはデイヴ・ホランドがいて、下が倉庫になっていたことで、ここにバリー・アルトシュルとアンソニー・ブラクストンが集まり「サークル」が生まれました。
しかしバンド活動は、1970年秋から71年春までのおよそ半年だけとなっています。
それは「前衛」と称されるこの手の音楽が、ヨーロッパや日本では歓迎されるも、本場アメリカでは難しかったことによります。
「サークル」のパリ・コンサートを録音した時点で、既にECMレーベルとは接点ができていたこともあり、1971年4月21日はノルウェイのオスロでソロ・アルバムを録音しています。
そしてこのアルバムが発売されるやいなや、ジャズ界から驚きを持って歓迎されたことで、サークルの活動は完全に終焉となりました。
今、改めて聴きなおして見ると、カルテットの演奏にはクラシックの現代音楽版のような雰囲気があり、ジャズで言う「完全な前衛」に成りきれない中途半端な側面も見られますが、ピアノ・トリオや、「サークル」結成前の「日輪」などは、今でも新鮮な一面を持って聴ける作品であると思います。

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